一昨年有圧温水ボイラーの規制
(厚生労働省の労働安全衛生法施行令)
が緩和され伝熱面積32m2以下で圧力が0.6MPa以下の木質バイオマス温水ボイラーは簡易ボイラーとして使用できるようになり、約500kW以下のボイラーが蓄熱タンクと直結できるようになり欧州と同じように使用できるようになりました。
(令和4年2月18日基発0218号2号)
日本の有圧ボイラーは法的規制が厳しく木質バイオマス温水ボイラーの多くが無圧温水機として使用されてきました。
無圧温水機の缶水には圧力がかからず安全で法的規制が緩やかですが通常循環ポンプと熱交換器が必要です。
欧州でバイオマスボイラーが普及しているのは木質燃料の緩慢な燃焼反応を蓄熱タンクがカバーしてうまく安定した温水を供給しているからですが、熱交換器があるとうまく工夫しないと蓄熱タンクの還り温度をうまく制御できません。
木質バイオマスボイラーは化石燃料ボイラーに比べて負荷変動への追従性が低い特徴があり、その対策として欧州では蓄熱タンクを設けるという技術が開発されました。
蓄熱タンクとボイラーとの制御はQM Holzheizwerkeという品質基準にある通り、ボイラー往き温度と還り温度を制御して往還温度差を大きくとるように制御します。
QMについてはhttps://jwba.or.jp/woody-biomass-energy/qm/を参照ください。
蓄熱タンクはボイラーから出た温水を上部から下部に向かってポンプで循環して温度成層を形成します。ボイラーに戻ってくる還り温度は三方弁で設定された温度になるように制御されます。還り温度が設定温度以下の時はボイラー内のみ循環して温度を保ちボイラーの腐食を防止します。温度が設定温度以上になると温水が外部に供給を開始します。還り三方弁の温度制御は蓄熱タンクの下部温度を保つように働き蓄熱タンクの上下の温度差を保つようはたらきます。ボイラー温水負荷がボイラー出力より大きくなるとタンクの温水を供給し、負荷が減少するとタンクに蓄熱します。
今回の規制緩和では0.05MPa(水頭圧5mAq)以下の無圧開放タンクを設置したボイラーは規制対象外と明記され0.05MPa以下で使用すれば無圧温水機でも蓄熱タンク直結や吸収式冷温水機直結が可能となりましたが、限定された使い方になります。
「大気汚染防止法施行令の一部を改正する政令」が、令和3年9月29日に公布されました。これにより、大気汚染防止法施行令別表第1におけるボイラーの規模要件が以下のように改正されました。
①伝熱面積」の規模要件を撤廃する。
②伝熱面積の規模要件撤廃に伴いバーナーを持たないボイラーについては、バーナーを持つボイラーと同規模であるにもかかわらず規制対象外となることから、公平な規制にするため「バーナーの燃料の燃焼能力」から「燃料の燃焼能力」に改正する。
改正前までは伝熱面積10m2以上のボイラーは規制対象でしたが、これが撤廃され燃焼能力のみによる規制になりました。燃焼能力は重油換算50リットル以上が対象ですが固形燃料の場合の重油換算値は大気保全局長通知により「重油10リットル」が「固形燃料16kg」に相当するものとして取り扱うよう運用されています。従って固形燃料燃焼能力80kg以上が規制対象です。